今日、お風呂から上がって台所に行くと、母が己の手をじーーーーっと見ていた。
「何してんの」と尋ねると、
「手ぇ、こんげしわしわなってしまって。いつの間にか」
改めてよく見てみると母の手は縮緬のように細かいしわでいっぱいだった。
ところどころにしみも見え、指先は赤かった。
「昔はのー、ふっくらした手だったんけどのー」
そりゃあ子供3人も育てて仕事もして、綺麗な手でいられるわけないよ。
でもでも私はおかあさんの手、好きだよ。
綺麗な手より、何百倍も好きだよ。
と言いたかったけど、言ったら泣きそうで言えなかった。
自分の手を見た。
まだしわひとつない、白い手。
でもその全体の形や、爪の形は母の手とそっくりだった。
子供を生むって、育てるって、自分の命を分け与えてるのと一緒だ。
私は、親の命削って大きくなったようなもんだ。
妹が高校入ってやっと少しずつ自分の趣味とかに時間を使えるようになってきた母。
もっと楽させてやりたいなあ。
やっぱり私はまだまだ母親になんてなれそうもないなあ。
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